加害者や相手方保険会社に弁護士費用を請求できないのですか?

法律上、交通事故の加害者に弁護士費用を請求できるという明確な規定はありません。

ただし、被害者が弁護士に依頼して加害者等に損害賠償請求の裁判を起こし、裁判所の判決に至った場合、被害者の損害額合計の10%分が弁護士費用の損害として加害者へ支払が命じられるのが一般的です。
被害者が実際に弁護士に支払う弁護士費用がいくらであるかとは基本的に無関係です。
これについても、損害額の合計の10%が弁護士費用として請求できるという決まりがあるわけではありませんが、裁判実務はほぼこのように運用されています。

ちなみに、被害者の損害額合計の10%分が弁護士費用として加害者に請求できる場合というのは、交通事故に限りません。
例えば、加害者から殴られて傷害を負った場合の損害賠償請求や、自分の夫が女性と不貞をはたらいた場合の慰謝料請求の場合でも、弁護士を依頼して裁判を起こしたときには、損害額合計の10%分が弁護士費用として判決で認められる運用となっています。
いわゆる民法上の不法行為責任に基づく損害賠償請求の場合に、10%の弁護士費用請求が判決で認められる運用とされているのです。
交通事故も、不法行為責任に基づく損害賠償請求が可能な場合になります。

これらは、あくまで裁判になった場合の話です。
そして、裁判をせず、示談交渉で保険会社等に損害賠償を請求する場合、弁護士に依頼したとしても、保険会社は弁護士費用の損害賠償に応じることはまずありません。
被害者の弁護士が、「判決になれば認められるということは、裁判所が弁護士費用を損害賠償として認めているのだから、裁判しなくても弁護士費用を請求しても良いはずだ。」と主張して、損害額合計の10%の弁護士費用を追加して請求することは可能です。
ただし、保険会社は、「あくまで判決になった場合に、裁判所が認める場合があるという理解をしており、示談交渉で弁護士費用は損害として認めない。」として否定してくる可能性が高いと思われます。
ですので、被害者の方が加害者等に弁護士費用を請求できるのは、裁判になった場合と理解していただいて構わないと思います。