異時共同不法行為

異時共同不法行為とは、一度目の交通事故で怪我をして治療中に、二度異時共同不法行為.jpg
目の交通事故に遭い、同じ箇所を怪我した場合のことです。

異時共同不法行為は、法律に明記されているわけではなく、保険会社や弁護士などの交通事故の損害賠償に携わる者が実務的に使用している概念です。
したがって、法律上に規定がある共同不法行為とは、別の概念になります。

異時共同不法行為になった場合、一度目の事故でも二度目の事故でも負傷した箇所の取扱いをどうするかが問題となります。
そして、一度目の事故で加害者の任意保険会社が病院等へ治療費の立替払いをしていた場合、二度目の交通事故以降の治療費の立替払いは、二度目の事故の加害者の任意保険会社が行うことになります。
つまり、二度目の事故で同じ箇所の怪我が生じた場合、一度目の事故の保険会社から、二度目の事故の保険会社にバトンタッチされることになります。
そして、二度目の事故が生じるまでの間の慰謝料等の賠償は、一度目の事故の保険会社が行い、二度目の事故発生以降の慰謝料等の賠償は二度目の事故の保険会社が行うことになります。
このように、二度目の事故発生をもって、賠償を行う保険会社を分けた方が、混乱が生じにくいからだと思われます。
これは、任意保険の対応です。

次に、自賠責保険においては、一度目の交通事故発生から二度目の交通事故発生までの損害は、一度目の自賠責保険会社が支払いをします。
二度目の事故で同じ箇所に生じた傷害の損害は、二度目の事故発生以降は、二度目の自賠責保険会社が支払うことになります。ただし、傷害の自賠責保険会社の限度額である120万円を超えた部分について、一度目の自賠責保険会社の既払い分が120万円未満の場合は、120万円の範囲で一度目の自賠責保険会社からも支払いを受けることができます。
また、2回の事故で両方怪我した箇所の後遺障害が認定された場合、両方の自賠責保険会社から支払いを受けることができます。
例えば、14級の後遺障害が認められた場合、各75万円ですので、合計150万円の支払いを受けることができます。
自賠責保険で足らない部分については、任意保険会社に請求することができます。

裁判になった場合、法律上の共同不法行為と認められた場合には、双方の加害者(任意保険会社)が連帯して責任を負うことになります。
法律上の共同不法行為と認められるためには、客観的関連共同性が必要であり、そのためには時間的・場所的近接性が必要とされています。
どの程度の時間的・場所的近接性が必要かについては、なかなか難しい問題です。

異時共同不法行為は、複雑な処理となりますので、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。